床材より先に糊を心配する時代へクッションフロア施工と材料不足のリアル
2026年5月、いつものように朝のコーヒーを飲みながら、少し重たい気持ちでこの文章を書いています。
スタンドエフエム 2026.5.12
【緊急】クッションフロアの張り替えは今すぐやれ!
https://stand.fm/episodes/6a024ca65f610a5da439de95
先日、noteには「クッションフロアの糊が入りにくくなっている」という緊急の話を書きました。あちらは、材料屋さんから連絡を受けた直後の、現場感の強い投稿でした。
【緊急】クッションフロアが張れなくなる?内装業界を襲った「糊」ショックの真実
https://note.com/tota100/n/nea7803eaf7eb
今回はもう少し落ち着いて、この問題を深掘りしてみようと思います。
クッションフロアと聞くと、多くの方は「床に張るシート」を思い浮かべるでしょう。洗面所、トイレ、キッチン、店舗の床などでよく使われる、あの水に強くて掃除しやすい床材です。
けれど、現場で仕事をしている側から見ると、クッションフロアは床材だけで成り立っているわけではありません。
下地があります。
接着剤があります。
圧着があります。
養生があります。
端部の処理や見切り材も必要になります。
その中でも、今回大きな問題になっているのが「床用接着剤」、いわゆる床糊です。
ヤヨイ化学やサンゲツといった内装材料に関わる主要メーカーから、床用接着剤の受注停止や出荷制限の案内が出ています。
すべての商品が完全に消えるという話ではありませんが、今までのように「必要な時に注文すれば入る」とは言い切りにくい状況になってきました。
正直に言うと、床材より先に糊を心配する時代が来るとは、私自身もあまり想像していませんでした。
けれど現場は、そういう時代に入りつつあるのかもしれません。
■床糊はただの付属品ではない
・クッションフロアは床材だけでは仕上がらない
クッションフロアの張り替えを考える時、お客様が最初に見るのは、たいてい床材の柄です。
木目調にするか。
石目調にするか。
明るい色にするか。
落ち着いた色にするか。
洗面所なら清潔感、トイレなら掃除のしやすさ、キッチンなら汚れの目立ちにくさ。
そういった見た目の部分に目が行くのは自然なことです。実際、床の柄が変わるだけで部屋の印象はかなり変わります。
ただ、施工する側からすると、柄と同じくらい大事なのが下地と糊です。
クッションフロアは、床の上にただ置いているわけではありません。専用の接着剤を使って、下地にしっかり固定します。きちんと接着されているから、歩いた時にズレにくく、端がめくれにくく、掃除もしやすくなるわけです。
つまり、完成後に見えているのは床材ですが、その下では糊がずっと仕事をしています。
見えないけれど、ずっと支えている。
まさに縁の下の力持ちのような存在ですね。
・下地に合わせた糊選びが必要になる
床用接着剤といっても、どれを使っても同じというわけではありません。
下地が木質系なのか。
コンクリートなのか。
既存の床材の上に張るのか。
湿気が出やすい場所なのか。
トイレや洗面所のように水回りなのか。
条件によって、使う接着剤の種類や施工方法が変わります。
たとえば、下地が水分を吸いやすい場合と、ほとんど吸わない場合では、糊の乾き方も違います。乾きが遅ければ施工後にズレやすくなることもありますし、逆に乾きが早すぎても作業性が悪くなります。
また、接着剤がしっかり硬化する前に人が歩いたり、重いものを置いたりすると、仕上がりに影響が出ることもあります。
お客様から見ると、クッションフロアは「張れば終わり」に見えるかもしれません。
けれど、現場ではその前後にいくつもの判断があります。
どの糊を使うか。
どれくらい塗るか。
どのタイミングで張るか。
どのくらい圧着するか。
施工後にどのくらい時間を置くか。
こうした積み重ねが、仕上がりと耐久性につながっていきます。
・糊を軽く見ると仕上がりに影響する
床材の柄は目に見えます。傷や汚れも見れば分かります。
しかし、接着剤の状態は完成後には見えません。
だからこそ、軽く見られがちな部分でもあります。
けれど、糊が合っていなかったり、施工条件が悪かったりすると、あとから浮き、めくれ、突き上げ、波打ちのような症状が出る場合があります。
もちろん、すべてが糊だけの問題ではありません。下地の状態、湿気、温度、施工環境、床材そのものの性質も関係します。
それでも、接着剤が大事な要素であることは間違いありません。
たとえるなら、畳でいうところの土台や縫着のようなものかもしれません。表面の畳表がきれいでも、中の状態や施工が悪ければ、長く気持ちよく使うことは難しくなります。
クッションフロアも同じです。
見えている床材だけでなく、見えない部分があって初めて、安心して歩ける床になるのだと思います。
■なぜ床用接着剤が入りにくくなっているのか
・背景には中東情勢と石油化学製品の問題がある
今回の床用接着剤の供給不安について、背景にあるとされているのが中東情勢の緊迫化です。
床用接着剤と中東情勢。
一見すると、あまり関係がなさそうに感じる方もいるでしょう。私も普段の現場仕事だけをしていれば、そこまで強く意識することは多くありません。
しかし、接着剤、塗料、シーリング材、プラスチック系建材などは、石油化学製品と深く関わっています。
原油から作られるナフサなどは、合成樹脂や化学製品の原料として幅広く使われます。床材、壁材、接着剤、塗料、樹脂製品。住宅やリフォームの現場で使う材料の多くが、実は世界の資源や物流とつながっています。
つまり、遠く離れた地域の情勢が不安定になると、巡り巡って日本の小さなリフォーム現場にも影響が出てくるわけです。
朝、職場へ向かう途中でコーヒーを飲んでいる自分と、中東情勢がつながっている。
そう考えると、少し不思議な気持ちにもなります。
けれど材料の世界では、それが現実なのでしょう。
・完全になくなったというより流れが詰まっている
ここで大事なのは、「床用接着剤がこの世から消えた」という話ではないことです。
もちろん、一部の商品では受注停止や出荷制限が出ています。ネットショップでも売り切れや納期未定の表示を見かけるようになりました。
ただ、問題の本質は、完全になくなったというより、供給の流れが詰まり、注文が集中し、必要なところに必要な量が届きにくくなっていることにあると感じています。
たとえば、あるメーカーの商品が入りにくくなる。
すると、施工店や材料屋さんは代替品を探す。
その代替品に注文が集中する。
今度は代替品まで品薄になる。
こういう流れが起きると、業界全体で一気に不安が広がります。
「いつもの糊が入らないなら、別の糊でいい」と簡単には言えません。
下地や床材との相性があります。
施工の感覚も違います。
乾き方やオープンタイムも変わります。
代替品があるから大丈夫、で終わらないのが現場の難しいところです。
・集中発注がさらに状況を悪くすることもある
材料不足の話が出ると、どうしても「今のうちに買っておかなければ」と考えたくなります。
気持ちはとても分かります。私も仕事で使う材料が入らないとなれば、まず在庫を確認します。足りなければ早めに手配しようと考えます。
しかし、みんなが一斉に多めに注文すると、必要以上に品薄感が強まることもあります。
これはマスクやトイレットペーパーの時にも似たようなことがありました。実際に必要な量以上に注文が集まると、流通が追いつかなくなります。
床用接着剤も同じで、買い占めではなく、計画的な発注が大事になります。
施工店としては、今決まっている現場、これから決まりそうな現場、在庫の残量、仕入れ先の状況を見ながら、必要な分を冷静に確保することが求められます。
お客様に対しても、「急いでください」とあおるのではなく、「早めに相談していただけると段取りがしやすいです」と伝えることが大事でしょう。
焦りではなく、準備。
今の時期に必要なのは、そこだと思います。
2026.5.12 現在当店の床糊の在庫は1箱。 さて、これがなくなったら・・
■現場で困るのは今日張れないより予定が組めないこと
・床材はあるのに糊がないという問題
材料不足で一番分かりやすい困りごとは、「施工できない」ということです。
でも、現場で本当に困るのは、その少し手前かもしれません。
いつ施工できるか分からない。
材料がいつ入るか読めない。
見積もりを出しても、実際の施工時に材料価格が変わるかもしれない。
お客様の希望日に合わせられるか判断しにくい。
こうなると、予定を組むこと自体が難しくなります。
たとえば、床材のサンプルを見て、お客様が柄を決めたとします。部屋の寸法も測りました。見積もりも出しました。施工日も仮で決めました。
ところが、いざ材料を手配しようとしたら、接着剤が入らない。
床材はある。
職人の予定も空いている。
お客様も待っている。
でも、糊がない。
これは本当に困ります。
しかも、床用接着剤は他のもので簡単に代用できるものではありません。合わないものを無理に使えば、あとから不具合につながる可能性があります。
だからこそ、「材料が入らないなら別のもので」というわけにはいかないのです。
・代替品を使うにも確認が必要になる
仮に代替品が見つかったとしても、それで即解決とは限りません。
その床材に対応しているか。
下地に合っているか。
水回りで使えるか。
施工後の養生時間はどうか。
においは強くないか。
作業性はどうか。
こうしたことを確認する必要があります。
職人は経験で判断する部分もありますが、メーカーの仕様や施工要領を無視するわけにはいきません。
特に賃貸物件、店舗、公共性のある場所などでは、あとからトラブルが出ると大変です。施工した直後はきれいに見えても、数か月後に浮いてきた、端がめくれてきた、湿気で剥がれてきたとなれば、お客様にも迷惑がかかります。
そのため、材料不足の時ほど慎重な判断が必要になります。
早く張ることも大事ですが、きちんと張ることはもっと大事です。
・工期直前の変更が一番困る
リフォームの現場では、工期が決まっていることが多くあります。
引っ越し前に終わらせたい。
退去日までに直したい。
店舗の休業日に合わせたい。
お盆前にきれいにしたい。
来客前に間に合わせたい。
お客様にも予定があります。
そのため、工期直前になって「材料が入りません」となるのが一番困ります。施工店側も申し訳ないですし、お客様にとっても予定が狂ってしまいます。
だからこそ、今後は今まで以上に前倒しの確認が必要になるでしょう。
床材を選ぶ前に、糊があるか確認する。
施工日を決める前に、材料の入荷状況を見る。
急ぎの現場ほど、早めに相談する。
少し前なら、ここまで考えなくても済んだかもしれません。
しかし、今はそういう時代ではなくなってきたように感じます。
■お客様に早めに決めてほしいこと
・施工したい部屋をはっきりさせる
クッションフロアの張り替えを考えている方に、まず決めていただきたいのは、どの部屋を施工したいかです。
洗面所なのか。
トイレなのか。
キッチンなのか。
廊下なのか。
店舗なのか。
賃貸物件の一室なのか。
場所によって、必要な床材の量も違いますし、施工の難しさも変わります。
たとえばトイレは面積だけで見ると小さいですが、便器まわりの切り込みや細かい処理が必要になります。
洗面所は洗濯機の移動や水まわりの湿気が関係することもあります。キッチンは冷蔵庫や食器棚など、大きな家具や家電の移動が問題になる場合があります。
部屋が決まれば、必要な材料の量をある程度見込めます。
材料不足の時期には、この見込みがとても大事です。
・希望時期を早めに伝えてほしい
次に大事なのは、いつ頃施工したいかです。
すぐにやりたいのか。
1か月以内なのか。
夏前までなのか。
急ぎではないが年内には済ませたいのか。
希望時期が分かると、施工店側も材料の手配や予定の組み方を考えやすくなります。
急ぎの方と、少し待てる方では、提案の仕方も変わります。
たとえば、今ある在庫で対応できる柄を優先する方法もあります。逆に、希望の柄にこだわりたい場合は、材料がそろうまで少し待つという選択もあります。
どちらが正解というわけではありません。
大事なのは、急ぎなのか、待てるのかを共有することです。
・床材の柄は早めに決めるほど動きやすい
床材の柄選びは楽しい部分でもあり、迷う部分でもあります。
明るい木目にするか。
落ち着いた石目にするか。
白っぽく清潔感を出すか。
汚れが目立ちにくい色にするか。
迷うのは当然です。
ただ、材料不足の時期には、柄を決めるのが遅くなるほど、手配も遅くなります。
特に人気の柄や定番品は、注文が集中しやすいこともあります。床材そのものがあっても、合わせる糊や副資材がそろわなければ施工できません。
そのため、ある程度候補を絞っておくと動きやすくなります。
第1希望だけでなく、第2希望、第3希望まで考えておくのもよいかもしれません。
・代替品でもよいかを考えておく
材料不足の時期には、希望の商品がすぐ入らないこともあります。
その場合に大事なのが、代替品でもよいかどうかです。
柄は少し違っても早く張りたい。
多少待っても希望の柄にしたい。
メーカーにはこだわらない。
価格を優先したい。
耐久性や掃除のしやすさを優先したい。
こうした優先順位がはっきりしていると、施工店側も提案しやすくなります。
お客様にとっても、あとで後悔しにくくなるでしょう。
何を優先するか。
これは、材料が豊富な時よりも、材料が不安定な時ほど大事になります。
■買い占めではなく計画的な相談が大事
・必要以上に不安をあおりたいわけではない
今回の記事で、私は「すぐに工事してください」とあおりたいわけではありません。
クッションフロアが今すぐ全国的に張れなくなる、と言い切るつもりもありません。
ただ、現場で材料を使う側としては、今まで通りの感覚では少し危ないと感じています。
必要な時に注文すれば入る。
いつもの糊が普通に届く。
材料屋さんに頼めば何とかなる。
そう思っていたものが、少しずつ揺らいできているのではないか。
そこをお伝えしたいのです。
・早めの相談はお客様にも施工店にもメリットがある
早めに相談していただけると、お客様にも施工店にもメリットがあります。
まず、材料の在庫を確認できます。
希望する施工時期に間に合うか判断できます。
代替案を考える時間ができます。
見積もりの有効期限や価格変動についても説明できます。
無理な日程を組まずに済みます。
施工店側としても、急な注文より、前もって分かっている工事のほうが段取りしやすいです。
特に今のように材料の先行きが読みづらい時期には、早めの相談がそのまま安心につながります。
・買い占めではなく段取りが大事
ここで間違えてはいけないのは、買い占めればよいという話ではないことです。
必要以上に材料を抱え込むと、本当に必要な現場へ届きにくくなります。材料には保管場所も必要ですし、長く置きすぎれば状態管理も必要になります。
大事なのは、今決まっている工事に必要な量を確認し、近い将来に予定している工事を見込み、無理のない範囲で備えることです。
お客様側も同じです。
「いつか張り替えたい」ではなく、「どの部屋を、いつ頃、どのくらいの予算で」と少し具体的にしておく。
それだけで、施工店側はかなり動きやすくなります。
■材料不足は価格だけでなく日程にも影響する
・値上げより怖いのは予定が読めないこと
材料不足というと、多くの方は価格の上昇を心配されると思います。
もちろん、値上げも大きな問題です。床材や接着剤、副資材が上がれば、施工費にも影響が出る可能性があります。
しかし、現場で感じる怖さは、価格だけではありません。
むしろ、予定が読めないことのほうが大きいかもしれません。
材料がいつ入るか分からない。
入ると思っていたものが遅れる。
代替品を探す時間が必要になる。
施工日を変更しなければならない。
こうしたことが重なると、お客様にも施工店にも負担がかかります。
特に、トイレや洗面所の床など、生活に直結する場所では、工期の遅れはそのまま不便につながります。
・見積もりの考え方も変わるかもしれない
これからは、見積もりの考え方も少し変わってくるかもしれません。
以前なら、見積もりを出してから少し時間が経っても、材料価格が大きく変わらないことが多くありました。
しかし、材料不足や価格改定が続くと、見積もり時点と施工時点で条件が変わる可能性があります。
そのため、今後は見積もりの有効期限や、材料価格が変わった場合の説明がより大事になるでしょう。
お客様には少し面倒に感じられるかもしれません。
けれど、あとから「聞いていなかった」とならないためには、最初にきちんとお話ししておくことが大切です。
・小さな工事ほど早めに動いたほうがいい
クッションフロアの張り替えは、6畳一間だけ、洗面所だけ、トイレだけといった比較的小さな工事も多いです。
小さな工事だから、いつでもできるだろう。
そう思われる方もいるかもしれません。
しかし、小さな工事でも材料は必要です。床材、糊、見切り材、場合によっては下地処理材も使います。
小さいからこそ、職人の予定のすき間に入れられることもありますが、材料がなければそのすき間にも入れられません。
むしろ、小さな工事ほど早めに声をかけていただいたほうが、うまく段取りできる場合があります。
■前田畳店として今考えていること
・まずは在庫と仕入れルートの確認
今回の話を受けて、私自身もまず考えたのは、手元の在庫と仕入れルートの確認です。
どの糊がどのくらいあるのか。
今後どの程度入荷できるのか。
代替品はあるのか。
材料屋さんはどのように見ているのか。
こうしたことを確認しながら、これからの施工予定を組む必要があります。
畳や襖、障子の仕事でも、材料の状態や入荷状況はいつも気にしています。畳表や縁、襖紙、障子紙、のり。どれも当たり前に見えて、なければ仕事になりません。
今回の床用接着剤の話は、あらためてその当たり前を考えるきっかけになりました。
・お客様には早めに正直に伝えたい
材料不足の話は、お客様に伝えるのが少し難しい面もあります。
あまり強く言うと、不安をあおっているように聞こえるかもしれません。逆に何も言わなければ、いざ材料が入らない時に迷惑をかけてしまいます。
だからこそ、できるだけ正直に、落ち着いて伝えたいと思っています。
今すぐ全部が止まるわけではありません。
ただ、通常通りの手配が難しくなる可能性があります。
施工を考えている方は、早めに相談していただけると安心です。
このくらいの温度感が、今の状況には合っているのではないでしょうか。
・職人仕事も社会情勢と無関係ではない
畳、襖、障子、床の張り替え。
こうした仕事は、地域の暮らしに根ざした、とても身近な仕事です。
けれど、その材料の奥をたどっていくと、海外の情勢、原油価格、物流、メーカーの生産体制、問屋さんの在庫、いろいろなものにつながっています。
手を動かす仕事だからこそ、世界の動きと無関係ではいられない。
今回の床糊の件で、そのことを強く感じました。
朝の盛岡の空気の中で、いつも通り仕事へ向かう。
でも、現場で使う材料は、世界のどこかの出来事にも影響されている。
そう考えると、日々の仕事も少し違って見えてきます。
■クッションフロアを検討している方への現実的なお願い
・まずは部屋と時期だけでも相談を
もし今、クッションフロアの張り替えを考えているなら、まずは部屋と時期だけでも相談していただければと思います。
まだ柄が決まっていなくても大丈夫です。
予算がはっきりしていなくても構いません。
急ぎなのか、少し先でもよいのかだけでも分かれば、こちらも考えやすくなります。
洗面所の床が少し傷んできた。
トイレの床をきれいにしたい。
キッチンの床が古くなってきた。
店舗の床を張り替えたい。
賃貸物件の退去後に直したい。
そうした話があれば、早めに声をかけてください。
・写真があると状況が分かりやすい
相談の際には、床の写真があると助かります。
部屋全体の写真。
傷んでいる部分のアップ。
入口まわり。
段差や見切りの部分。
洗濯機や便器、家具の位置。
写真があるだけで、ある程度の状況が分かります。
もちろん、最終的には現場を確認する必要がありますが、最初の相談段階では写真がとても役立ちます。
特に材料不足の時期には、早めに情報を共有しておくことが段取りにつながります。
・待てる工事と急ぐ工事を分ける
すべての工事を急ぐ必要はありません。
少し傷んでいるけれど、まだ使える。
年内にできればよい。
柄にこだわりたいので待てる。
そういう場合は、無理に急がなくてもよいと思います。
一方で、水回りの床がふかふかしている、めくれてつまずきそう、店舗営業に影響する、退去日が決まっているといった場合は、早めに動いたほうがよいでしょう。
待てる工事と急ぐ工事を分ける。
これも、材料不足の時期には大事な考え方です。
■まとめ 見えない糊が暮らしの足元を支えている
今回の床用接着剤の受注停止や出荷制限の話は、内装業界にとってかなり大きな出来事だと感じています。
一般の方からすると、「糊がない」という話は少し地味に聞こえるかもしれません。
けれど、クッションフロア施工において、糊は見えない主役です。
床材を支え、仕上がりを支え、毎日の暮らしの足元を支えている存在です。
今回の件で、私が一番感じたのは、床材よりも先に「糊があるか」を確認する時代になってきたということでした。
材料不足で困るのは、価格が上がることだけではありません。
施工日が読みにくくなること。
代替品の確認が必要になること。
予定していた工事が後ろにずれること。
お客様にも施工店にも負担がかかること。
そうした現実があります。
だからこそ、買い占めではなく、早めの相談と計画的な段取りが大事です。
クッションフロアの張り替えを考えている方は、まずは部屋と時期だけでもご相談ください。
前田畳店でも、在庫と仕入れ状況を確認しながら、できる限り対応してまいります。
見えない材料が、見える暮らしを支えている。
今回の床糊の問題は、そんな当たり前をもう一度考えさせてくれる出来事だったのかもしれません。
長くなりました、今回はこの辺で、
皆様、素敵な一日を。
前田まさとし
参考にした情報
今回の記事を書くにあたり、メーカーからの案内に加えて、公開されている関連情報も確認しました。
国土交通省の「中東情勢関連の住宅生産課通知・事務連絡」では、令和8年4月以降、中東情勢に関連した住宅建材・設備・資材の安定供給について、複数の通知や事務連絡が出されています。
国土交通省
中東情勢関連の住宅生産課通知・事務連絡
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_mn4_000026.html
また、国土交通省・経済産業省の関連案内では、中東情勢の影響により住宅建材・設備の製造に必要な溶剤の供給が一部滞っていること、通常量以上の発注を控え、当面の必要量に見合う量のみを発注するよう協力要請が出ていることが確認できます。
一般社団法人 日本住宅リフォーム産業協会
【国交省】中東情勢等を踏まえた対応について
https://www.njr.or.jp/list/news/2026/02026.html
経済産業省
中東情勢等を踏まえたシンナー、塗料等の溶剤、住宅資材等の安定的な供給確保について
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/jyutaku/260428tyutou_yousei.pdf
サンゲツの公式商品ページでは、ベンリダインPC-2 BB-576について「ビニル床タイル・ビニル床シート用接着剤」と案内されています。クッションフロアはビニル床シート系の床材として扱われるため、今回の床用接着剤の供給不安は、クッションフロア施工にも関係する内容と考えられます。
サンゲツ
BB-576 PC-2 商品ページ
https://www.sangetsu.co.jp/product/detail/BB576/
通販サイトでも、BB-576 PC-2について「在庫無し、納期未定」と表示されている例が確認できました。流通在庫の状況は日々変わりますが、少なくとも床用接着剤の一部で入手しにくい状況が出ていることを示す参考になります。
東鵬ストア Yahoo!店
床用接着剤 PC-2 ベンリダイン BB-576
https://store.shopping.yahoo.co.jp/toho-y/bb-576.html
住宅業界向けの報道でも、通常以上の発注が集中することで需給ひっ迫が起きないよう、当面の必要量に見合う発注や不急な在庫確保を控えるよう要請されたことが紹介されています。
新建ハウジング
3省庁、流通に対し住宅資材の需給ひっ迫防止を要請



